占守 1/700

占守 海防艦 1/700 リノリウム甲板の塗装

占守は元々は、北方など寒冷地での作戦を念頭に設計された海防艦でしたが
実際には、南方での活動も長かったようです。

 

キットには2隻分のパーツがセットされているので

  • 1942年(~7月)
  • 1944年(~9月)

を想定して製作しています。

 

意外にも(?)北方で活動したのは1945年4月以降から終戦までの短期間らしく
その生涯の殆どを南方で活動していたようです。

従って、2隻とも
甲板はリノリウム張とすることにしました。
 

 

日本海軍の艦艇に使われたリノリウムとは?

リノリウムというのは、

  • リノキシン(亜麻仁油と桐油を酸化重合させたもの)
  • ロージン(松ヤニ)
  • コルク粉
  • 鋸くず

などを、キャンバス布地に加熱圧着させた素材です。

加工性に優れ、軽量、それでいて低コストと
非常に便利な素材だったのですが・・・

上記の原材料を見ての通り
リノリウムは可燃物も同然で着火が高いという欠点がありました。

 

そんな訳で
戦争が進むにつれて、甲板から剥がしてしまう艦も多かったようです。

 

ただし、南方で活動した艦艇については
リノリウムを剥がした鉄甲板が直射日光で焼かれ
船内はとんでもない猛暑になったため・・・

あまりの暑さに耐えかねて
リノリウムを再び張りなおした艦も少なくなかったようです。

 

今回製作中の占守も活動地域が南方であるので、
リノリウムを張りなおしたのでは?という想定の元に製作しています。

 

ちなみにリノリウムは現在でも
様々な建物の室内の床に使われています。

特に病院や老人ホームで見かけることがあるので
興味のある人はチェックしてみて下さい。

さすがに茶褐色でないとは思いますが^^;

 

リノリウム甲板の塗装手順

リノリウム色をエアブラシ塗装しても悪くはないのですが
ひと手間、ふた手間かけるだけで
リアルな質感を加えることが出来ます。

  1. マホガニー色を甲板全体に塗装(影色)
  2. ライトブラウン(+ホワイト10%)を部分塗装
  3. ライトブラウン(原色まま)を残った部分に塗装
  4. リノリウムを1~3で塗った色が多少透ける程度に全体塗装

といった感じで
段階的に塗装作業を進めていきます。

 

 

マホガニーで甲板の影色をつける

まず甲板に立体感を出すために
マホガニーを影色として下地塗装します。

リノリウム色より暗い茶色なので
塗装が終了した後では
マホガニーの部分が突起物の根元などの影として見える計算です。

エアブラシ塗装をしていますが
基本的にはベタ塗りでOKなので気軽です。

 

2色のライトブラウンで変化をつける

リノリウム色を塗ったときに
微妙な色の変化をつけ、質感やリアルさを演出するために
ライトブラウンをマホガニーを塗った上から塗ります。

注意したいのが
甲板突起物の隅には、ライトブラウンを塗装しないようにして
マホガニーを残すように塗装する事です。

 

一気に色を塗装するのではなく
下地のマホガニーが薄く透けて見えるかな?程度で
何度か薄く塗り重ねていくと失敗が少ないです。

 

なお、ライトブラウンも

  • ツヤ消しホワイトを10%加えた塗料
  • 原色のままの塗料

の2つをランダムに配置していくと
甲板に変化が生まれ、リアルな質感が得られるようです。

 

上がマホガニーの上にライトブラウン原色を塗った状態。
後からホワイトを10%加えたライトブラウンを塗るための場所を残しています

 

先ほど残していた部分にホワイトを10%加えたライトブラウンを塗った状態。
甲板に見える横線状の突起はリノリウム留です。

リノリウム留や各種突起の付近には
うっすらとマホガニーが透けて見えているのが判ると思います。

 

 

リノリウム色を薄く全体的に塗装

ここまで下地塗装が終了したので、
リノリウム色をエアブラシで塗装します。

 

上画像の左がリノリウム塗装前、右が塗装後。

リノリウムが張られた部分に全面的にエアブラシ塗装するのですが
下地の色が僅かに透けて見えるくらいに、薄く塗り重ねるように塗装します。

こうする事で、下地色と上に塗装したリノリウム色が混ざって微妙な色の変化が生まれます。

こうした微妙な色の変化を塗料を混ぜて調色する事で再現しようとすると、とんでもない労力がかかります。

それを避けるための下地塗装だった訳です。

 

一気にドバッと塗装したり、
5回も10回も塗装して下地色を完全に塗りつぶしてしまうと
リノリウム色がベタ塗りされただけの甲板になってしまい
今までの作業がムダになります。

くれぐれも塗り重ね過ぎには御注意を!!

 

リノリウム留の塗膜をはがす

甲板塗装は終了しましたが
最後にリノリウム留に付いた塗装を剥がします。

 

これは次回の記事で詳しくレポートしますが
塗装に先立って、甲板には
真鍮線で再現したリノリウム留を接着しています。

実艦もリノリウム留は真鍮製だったので
塗膜をはがすだけで、実艦と同じ色、構造を再現できる訳です。

 

剥がし方は簡単です。
彫刻刀やナイフの刃先で軽く擦るだけです。

 

擦るときに、リノリウム留の周りの甲板にキズをつけないように
刃先の向きや角度に注意が必要です。

もっとも、リノリウム留は甲板表面から出っ張っているので
注意していれば大丈夫だとは思いますが・・・

 

今回はリノリウム留を深くめり込むように接着してしまったので
甲板にキズをつけてしまうミスが多発しましたが

リノリウムの色、質感は上手く表現できましたし
リノリウム留の金属感も出たので、今回はこれで良しとしました。