リノリウム甲板の塗装が終わったので
塗装作業が本格化します。
塗装はエアブラシを使用するので
ベタ塗りでも、十分な見栄えにはなりますが
ひと手間くわえて、波しぶきによる塗装の剥がれを表現します。
作業の流れとしては、上記の目次の通りです。
かなりの作業量に思えますが
やってみると、そこまででもありませんでした。
リノリウム甲板のマスキング
すでにリノリウム色が塗装されていますが
甲板には船体の灰色と同じ色の構造物が並んでいるので
そこを避けるようにマスキングテープで養生します。
極細のマスキングテープを使っても良いですが
私はご覧のような極太のマスキングテープをカッティングマットに貼り付け
カッターナイフで細切りしたものを張り込んでいきます。
砲台基部の円形台座などは
キレイに円にくり貫いたテープを貼るのもアリですが
マスキングテープを極細に切ったものを、砲台基部の周囲に正方形に張り込み・・・
その後に、マスキングテープの正方形と砲台の隙間を塞ぐように
極細マスキングを張り込みます。
丁度、マスキングテープの正方形を2つ組み合わせたような感じでしょうか。
海防艦や駆逐艦など小さな艦艇はコレくらいでも十分でした。
甲板上のハッチ等の構造物も、その周囲を囲むように
極細マスキングテープを貼っていきます。
左が甲板上の構造物の周囲のマスキングを終えた状態。
あとは残った隙間を少し大き目のマスキングテープで覆い尽くしたのが右の状態となり
マスキング作業は終了となります。
マスキング作業は根気の要る作業で、時間も掛かります。
マスキングテープ同士の多少の重なりには拘らず
どんどん張り込んでいくのが作業を速く終わらせるコツです。
占守の船体色について
占守を時期に応じて作り分けているので、塗装する色も異なります。
左側は横須賀工廠色が塗装されていたであろう1942年。
右側は舞鶴工廠色が塗装されていたであろう1944年ごろを想定しています。
横須賀、舞鶴いずれの色についても
- 仕上色(船体色の基本となる色)
- 下地色(仕上色に白を+10%加え、退色したイメージ)
の2色を用意し、塗り分ける事で
塗料の劣化や剥離具合などを再現していきます。
本記事では、1944年ごろの占守を塗装していますが
1942年の占守の塗装も、使用する塗料の違いこそあれ、塗装手順はまったく同じです。
ちなみに
下地色は塗料が剥げたり、劣化した状態の色を想定しているので
モールドやパーツの端に少し見える程度。
仕上色が、船体本来の色になり
一番、目に見える色になる予定です。
船体の下地色の塗装
マスキングが終了したら
船体色つまり灰色の塗装に取り掛かります。
まず、下地色となる
仕上色に比べて少し明るい灰色を塗装します。
上画像の左側はサーフェイサーが残っていて、右側(船尾)には
舞鶴工廠の下地色が塗装された状態になっています。
- 甲板上の構造物
- 船体の側面
両方とも同じ色でひとまずOKです。
エアブラシなので、吹き付ける塗料の量で
色の強弱を付けることもできますが・・・
この段階ではベタ塗りでもOKだと思います。
喫水線部分をマスキングのりで養生
つづいて
船体の下地色の上にマスキングのりを塗布し
波しぶきによる塗装の剥がれを再現します。
使用する道具は
- マスキング用のり(でんぷんのり+水+絵の具)
- ドライブラシ
の2つだけ。
マスキング用のりを含ませたドライブラシを船体にポンポンと軽く叩くと
マスキング用のりが斑点状に船体に塗布されるので、その上から仕上色を塗装した後、
マスキングのりを剥がせば、その部分だけ下地色が見えるようになり
波しぶきで塗膜が部分的に剥げた状態を演出できる訳です。
ドライブラシの穂先にのりを付けた後、
余分なのりをパレットやのりを入れたビンのふたで落としてから
船体にポンポンと軽く叩くようにして、塗布すると上手くいきます。
この後も何度か
マスキングのりを使いますが
基本的な塗り方や使い方は共通です。
なお、このマスキングのりは
塗布状況が見やすいように「絵の具(青)」と水を加えています。
絵の具は無くてもOKですが
水を加えないと、強力に塗膜に食いついてしまい
剥がれなくなったりします。
必ず水は加えるようにしてください。
のりに対して水を半分も加えれば十分です。
船底色の下地色を塗装
マスキングのりが乾いた上から
船底の下地色を塗装します。
船底の赤色も
- 仕上色
- 下地色(仕上色に白を+10%)
の2色を塗装しますが
下地色は仕上色が劣化した状態の色をイメージして調色しています。
喫水線部分を再び、マスキングのりで養生
船底色の下地色が乾燥したら
その上からマスキングのりを塗布します。
この段階で塗布するマスキングのりは
船底色の下地色を保護するためです。
船底色の仕上げ色の塗装
マスキングのりが乾燥したら
船底色の仕上色を塗装します。
エアブラシでベタ塗りしても良いのですが
部分的に濃淡をつけるのも良さそうです。
作品のイメージや各自の好みで
色々な工夫が考えられそうですね。
喫水線上部に着いたマスキングのりの除去
船体色を塗装する前に
喫水線上部に着いたマスキングのりを除去します。
そうしないと
喫水線上部に塗布されたマスキングのりが剥がれると
下から赤色が見えてしまうからです。
指先を水で濡らした状態で
船体を軽くこすれば、のりを除去できます。
もし、それでも落ちない場合は、
棒に両面テープを巻きつけた「とりもち」を
船体につけて、コロコロ転がせば除去できると思います。
(画像は全ての塗装作業が終了し、のりを除去している状態です)
極細マスキングテープで船底色をマスキング
ここまでの段階で
船底色の塗装は完了したので
マスキングテープで灰色の塗料から保護します。
0.2mm幅などの極細マスキングテープを貼り
それ以外の部分に灰色を塗装すれば
マスキングテープを剥がせば、船底色が一直線に塗装されて見える訳です。
船体下地色を塗装
船底色をマスキングしたら
船体下地色をもう一度、全体的に塗装します。
喫水線上部に付着してしまった船底色を消すためです。
下地色が透けるため、ベタ塗りが無難ですが
ワザと下地色が透けた部分を残し
これから塗る灰色に微妙な変化を出す方法も考えられそうです。
マスキングのりを波しぶき状に塗布
マスキングのりを
波しぶきの形状をイメージして塗布します。
マスキングのりの恩恵が最も活きる作業ですが
コツは先ほどと同様に
ドライブラシの穂先に付けるマスキングのりは少量
という点は共通です。
塗布した直後は指やティッシュ等でサッと拭けば
ある程度は、やり直しが効きます。
船体仕上げ色を塗装
マスキングのりが乾燥したら
最後に船体の仕上色を塗装します。
作業手順が前後しますが、上画像は塗装後で船底をカバーしていたマスキングテープを除去した所。
下地色が透かす様に、サッとスプレーしたり
逆に仕上色を濃くしたりして、意図的に色の変化を付けます。
例えば、船体の外板のパネルラインは
下地色を残しつつ、パネルの中央部は仕上色を濃くスプレー塗装すると
立体感や塗料の退色表現になります。
部分的に、パネルや構造物の真ん中でも
下地色を透かすように塗装するなど変化を付けるとより効果的です。
船体や甲板への船体色(灰色)の塗装が終わり、甲板上のマスキングテープを剥がした状態。
甲板については
人が通る場所やモノが移動して擦れる場所は
塗料が劣化したり剥げやすい部分なので
下地色を残したり、透けるように塗装した方が良さそうです。
また、甲板や上部構造物の屋根は
太陽光を強く反射するので
船体よりも下地色を透かしたり、残す面積を増やし
明るめに仕上げると立体感がより際立つと感じます。
全てのマスキングを除去
作業順序が少々前後してしまいましたが、
仕上色の塗装が終了したら、全てのマスキングを剥がしてOKです。
船底のマスキングテープは手で簡単に剥がせますが・・・
甲板に張り込んだマスキングは、ピンセットを使った方が剥がしやすいかと。
ピンセットの先端で、せっかくの塗装を傷つけないようにだけ注意。
マスキングのりは、水で濡らした指先を船体に軽くこする事で剥がせると思いますが
どうしても上手く剥げないときは、上画像のような棒の先に両面テープを巻いた「とりもち」を船体に貼り付け
転がせば、マスキングのりを除去できるはずです。
占守の基本塗装を終えて
実は今日ブログをUPするまでに
基本塗装はハデに大失敗しています。
マスキングのりがサーフェイサー毎剥がれるという
私も初めてのトラブルでした。
結局、塗装をペイントリムーバー液で全て剥がし
1からやり直ししたのですが、
そのおかげもあり
当初のイメージに近い仕上がりになったと思います。
塗料の調色はバッチリだったのですが
もう少し、仕上色と下地色の濃淡や強弱を付けた方が良かったかも知れません。
特に、船底色は仕上色が強過ぎて
下地色がわかり辛い状況になっています。
もう1隻の占守(1942年)の方は
その点に注意して塗装したいと思いますが
ひとまず、コチラを先に完成させてしまう予定です。
次回はウェザリング塗装やフィルタリング塗装などの
仕上げ塗装です。