占守 1/700

占守 海防艦 1/700 リノリウム留の追加工作

占守に限らず、海防艦や駆逐艦、巡洋艦の甲板には
リノリウムという素材が敷かれていました。

 

しかし、甲板上に敷いただけでは
波や強風ではがされてしまいます。

そこで日本海軍の艦艇では
リノリウムの上から真鍮製のプレートで押さえ付けて固定していました。

 

これがリノリウム留という奴です。

 

当初はキットのモールドをそのまま使う予定でしたが

以前、塗装したリノリウム甲板の色が気に入らなかったので
塗り直すついでに、真鍮線でリノリウム留を再現する方法に初挑戦する事にしました。
 

 

リノリウム留の再現方法

リノリウム留は真鍮線で表現するので
とくに塗装は必要ありません。

甲板に真鍮線を接着するだけでも十分かもしれません。

 

ただ、いろいろ試してみると
どうも瞬間接着剤での接着が上手く行きませんでした。

 

そこで今回は
流し込み接着剤を使用して真鍮線を固定する方法をとりました。

 

作業の流れとしては

  1. 甲板に真鍮線の埋め込み溝を彫る
  2. デバイダーで真鍮線の長さをトレース
  3. 真鍮線をデバイダーの長さに切断
  4. モールドを切除
  5. 埋め込み溝に流し込み接着剤で真鍮線を接着
  6. 甲板を塗装
  7. リノリウム留の部分のみ塗装をはがす

といった具合です。

 

ちなみに今回の作例の画像では
リノリウム色が塗装されていますが、本来は
サーフェイサーが塗装されただけの状態になります。

つまり
サーフェイサーを塗装した後に
リノリウム留の工作に入る流れとなります。

参考にされる場合は、ご注意ください。

 

 

ラインチゼルでスジ彫りする

甲板に真鍮線を埋め込むための溝を彫ります。

なぜ溝を彫るかというと
そうしないと接着剤を流し込んでも、すぐに取れてしまうからです。

埋め込み溝を彫るために
ラインチゼル(ハセガワ製)を使用しました。

ラインチゼルは元々はスジ彫り用の彫刻刀ですが
同じ箇所を何度もなぞる用に掘ることで
深い溝を作ることも出来ます。

 

問題は、キレイな直線状に掘れるか?という事ですが
ピットロード社のキットのリノリウム留は
割としっかりとしたモールドになっているので
このモールドをそのままスジ彫りのガイドとして利用しました。

 

埋め込み溝の深さは好みで調整して良いと思いますが
軽い力で2~3回なぞる程度の深さが良いと感じました。

埋め込み溝が深いと
リノリウム留に付着した余計な塗料をはがす際に
誤って甲板にキズをつけてしまいやすくなります。

溝が彫れたら、
スジ彫りのガイドとして使った
キット本来のリノリウム留のモールドを削り落とします。

 

 

デバイダーで真鍮線の長さをトレース

つづいて
接着する真鍮線を埋め込み溝と同じ長さにカットするために
デバイダーで溝の長さをトレースします。

デバイダーはコンパスそっくりの外見ですが両方のアーム先端の針をあてがうだけで
簡単に同じ長さの部品を用意できます。

特にアームの開度を微調整するための
調整ネジが付いているデバイダーは大変便利なのでオススメです。

 

 

真鍮線をデバイダーと同じ長さにカット

溝と同じ長さに開いたデバイダーを真鍮線にあてがい・・・

 


カッターナイフを置き
真鍮線を転がすように前後動させれば、かんたんに切断できます。

上画像であれば、ナイフを左右方向に動かす訳です。

今回は0.2mm径の極細の真鍮線を使用したこともあってか
切断にはまったく力は必要ありませんでした。

 

埋め込み溝に接着剤を流し込む

真鍮線を溝に置く前に
流し込み接着剤を塗布しておきます。

こうすることで
埋め込み溝の内側のプラが溶け出し
この状態で真鍮線を押し込む事で
接着強度が高まるからです。

 

不安なら真鍮線を置いた後に
真鍮線の上から接着剤を流し込んでも良さそうです。

ただ、量が多すぎると甲板を汚すので注意してください。

 

真鍮線を接着

ここまで来れば、あとは
真鍮線を埋め込み溝にはめるだけです。

埋め込み溝の深さにも拠るのですが
軽く押し込む程度で十分な接着強度が得られるようです

 

むしろ強く押し込みすぎて、画像のように
溶け出した接着剤が甲板表面に流れ出てくると
除去・修正の手間が増えるので
軽く押し込む程度が無難だと感じました。

 

実際、今回の作例では
流れ出た接着剤を完全には除去・修正出来ませんでした。

 

甲板をリノリウム色で塗装

接着剤が乾き、真鍮線が固定されていれば
甲板をリノリウム色で塗装していきます。

 

詳しい塗装法については、本ブログ記事

占守 海防艦 1/700 リノリウム甲板の塗装でレポートしています。

 

リノリウムの上から塗装されてしまうので
せっかくの真鍮の色が見えなくなってしまいますが
それは一時的な話。

プライマーなどを塗布していなければ
後からナイフ等で簡単に擦れば、真鍮が再び輝きを放ちます。

 

 

リノリウム留を擦り、真鍮を露出させる

塗装が乾いたら、リノリウム留の直上を
ナイフや平刃の彫刻刀で軽く擦るようにして
塗料を剥がします。

この時注意したいのが
誤って甲板に刃先が当たり、傷つけたり塗装をはがしてしまうミス。

 

塗装が剥げた部は
塗装し直すことになり、余計な手間が増えるので

逐一、刃先の向きや角度を確認しながら
慎重にゆっくり作業しましょう。

 

 

リノリウム甲板の完成

前回のリノリウム甲板の塗装に引き続き
リノリウム留も再現できました。

これでリノリウム甲板は完成です。

 

今回は初めて実践する工作とだけあり
貴重な経験が積めたと思います。

キットのモールドをスジ彫りのガイドに使う方法は
個人的には大正解だったと感じています。

他社キットでは使えない手法かもしれませんが・・・。

 

その一方で、埋め込み溝を深く彫り過ぎたため
真鍮線が埋まってしまい、塗装をはがすときに甲板が傷つきやすくなった事。

真鍮線を埋め込む事ばかり意識してしまい
接着剤がハミ出て、仕上がりが悪化した事。

上記の2点は次回作でミスしないようにしたいです。

 

おそらく、次は製作中の武蔵の飛行甲板で
再びリノリウム留を再現することになるので、良い練習になったと思います。