塗装テクニック【筆塗り編】

艦船模型の塗装を筆で仕上げるための工具・材料

艦船模型に限らず
プラモデルを塗装するのに最も基本的な道具は、やはり

筆です。

  • 筆セット(細筆・平筆などのセット)
  • ラッカー塗料
  • アクリル塗料
  • エナメル塗料
  • 各塗料用のうすめ液
  • リターダー液(ラッカー塗料を使う場合のみ)

以上の道具や塗料を揃えれば

筆塗りにスグ取り掛かる事ができます。

艦船模型を筆塗りするのに必要な筆や塗料について紹介します。
 

 

筆(平筆・面相筆)

筆は細部塗装のみであれば
細筆が1本あれば、なんとかなります。


上画像でいえば、右から2番目の筆になります。

ただし、

  • キット全体の灰色を塗料で塗りなおしたい
  • 木甲板やリノリウム甲板を塗装したい

という場合には
ある程度の太さの平筆が必要になります。

平筆の太さについては
上画像程度のものが塗りやすいと思います。

太い平筆は一度に広い幅を塗れますが
筆先が広い分、筆先に含んだ塗料を一気に染み出すので
均一な塗装をしたい場合には
却ってコントロールが難しいので注意が必要です。

 

なお、細筆では対応できないくらいに細かな部分を筆塗りするなら

面相筆が必要になりますが、面相筆はある程度高価になることもあり

初心者段階では、それほど必要性は高くないと思います。

 

個人的なオススメとしては

面相筆~平筆(太筆)まで5・6本ほどがセットになった

筆セットを用意できれば、初心者段階では十分なはずです。

 

ラッカー塗料

模型メーカー各社から色々な塗料が発売されていますが
GSIクレオス社(旧グンゼ産業)から発売されている
油性塗料が俗にラッカー塗料と呼ばれています。

このラッカー塗料は乾燥が速く
プラキットへの塗料の定着も優秀。

乾燥後の塗膜も耐久性が高いので
プラモデルだけでなく、様々なホビーシーンでも使われる塗料です。

乾燥が速いため
筆塗りの場合は筆跡が残りやすい欠点がある反面
エアブラシ塗装には適しています。

したがって
ラッカー塗料は筆塗りには、あまり向かないのですが
塗膜が強く、ほかのアクリル塗料やエナメル塗料を上から塗り重ね
キレイな塗り分けも出来るので
筆塗りでも使用する人も居るようです。

ラッカー系塗料を筆塗りで使う場合は専用うすめ液での適度な希釈はもちろん、
後述のリターダー液を加える事で、筆跡や筆ムラを和らげるのがオススメです。

 

リターダー液


リターダー液は、ラッカー塗料に加える事で
ラッカー塗料の乾燥を遅らせる液体です。

乾燥を遅らせるというと、一見すると性能を低下させているだけに聞こえますが
筆塗りの場合には、乾燥がある程度時間がかかった方が
塗料の伸びが良くなり、筆跡や筆ムラ防止効果が期待できるからです。

数滴足らすだけで効果があるので
1ビン購入しておけば、相当に長持ちするはずです。

ラッカー塗料を筆塗りする際には

  • 適度な濃度に希釈する専用うすめ液
  • リターダー液

の2つを必ず使用し
ラッカー塗料を筆塗りに適した濃度に調整して使うようにしましょう。

 

なお、希釈する際にどれ位の濃度にすれば良いかは

【関連記事】
筆塗りに適したラッカー塗料を作る

で詳しく解説しますが

後述のアクリル塗料やエナメル塗料の濃度を参考にすると
感覚がつかみやすいはずです

 

アクリル塗料


タミヤ模型から発売されている
アクリル塗料で、通称「タミヤアクリル」と呼ばれています。

筆塗りに適している塗料で
筆ムラや筆跡が残り難いので初心者の方でも、
筆塗りでキレイな仕上がりを得やすいのが特長。

また、ビンを開けたら
特に希釈をせずとも、筆塗りに適した濃度に成っている事が多いのも
初心者にはウレシイ特長といえそうです。
(ただし、一応試し塗りはした上で希釈するか否かは判断しましょう)

その代わり
乾燥にはやや時間が掛かかる上に
乾燥後の塗膜の強度や、プラ面への定着度は
ラッカー塗料に劣ります。

あと、アクリル塗料の上から
ラッカー塗料を塗ると、乾燥していても
アクリル塗料の色が溶け出して混ざってしまうので
ラッカー塗料との相性は悪いです。

アクリル塗料に塗り重ねできるのは
エナメル塗料に絞られてくるので
灰色など船体の広範囲にアクリル塗料を塗装する際は
色の塗り重ねについて、塗装前に、慎重に検討しておく必要があります。

以上の様に、多少の注意点はあるものの
タミヤアクリルで筆塗りに慣れていくのがオススメです

なお、筆塗りに適した特性を持つアクリル塗料ですが
専用うすめ液で薄める事で
エアブラシ塗装に使う事も可能ですが
かなりシビアな濃度調整が要求されます。

エアブラシ塗装をするなら、特別な理由がないかぎりは
ラッカー塗料を素直に使ったほうが良いでしょう。

エナメル塗料


アクリル塗料と同じくタミヤ模型から発売されているのが
エナメル塗料。通称「タミヤエナメル」で親しまれています。

アクリル塗料よりもさらに乾燥が遅いものの
塗料の伸びがよく、筆跡や筆ムラが残り難いので
非常に筆塗りに適しています。

ナノドレッドなどの精密パーツのモールドを潰さず
薄く塗装できるのも、エナメル塗料の大きな利点です。

反面、エナメル塗料は、乾燥に時間が掛かり、最も塗膜が弱く
ラッカー塗料、アクリル塗料のいずれも塗り重ねる事ができないので
エナメル塗料だけで塗装する場合は塗り分けが難しくなります。

一般的には
ラッカー塗料やタミヤアクリルで全体塗装した上で
細部をタミヤエナメルで塗り分ける人が多いようです。

特にエナメル塗料は
キットのモールドを強調するスミ入れ
質感を演出するスミ入れ崩しやウォッシングに使われるので

上記のようなテクニックを使いたい場合には
基本的な塗装は最低でもアクリル塗料で行う必要があるので要注意です

 

各種うすめ液


ラッカー塗料、タミヤアクリル、タミヤエナメルと紹介してきましたが
いずれの塗料の濃度も、必ずしも筆塗りに適している濃度とは限りません。

特にエアブラシ塗装をする場合には
ラッカーにせよアクリルにせよ専用のうすめ液が必須となるので
塗装をするならほぼ必須と考えて良いでしょう。

また、塗料の希釈だけでなく
使用後の筆の洗浄にも使えます。

ただしエアブラシを洗浄する時だけは
エアブラシ専用の強力な洗浄液の使用をオススメします。

ちなみに、クレオス社のラッカーうすめ液とガイアノーツ社のうすめ液は成分が殆ど同じなので、互換性があるようです。クレオス社のラッカー塗料のうすめ液が品切れの際には覚えておくと良いかもしれません。

 

スペアボトル

意外に必要性に迫られるのが
スペアボトル。

要は単なる塗料保管用の空き瓶なのですが

  • 筆塗り用に希釈した塗料の保管
  • エアブラシ用に希釈した塗料の保管
  • 自分で調色したオリジナル塗料の保管

に活躍します。

筆塗り用にうすめ液を加えただけなら良いのですが
筆塗り用にリターダーを加えたラッカー塗料は
エアブラシには使わない方が無難です。

またエアブラシ用に希釈しようとすると
塗料1に対してうすめ液が2倍・3倍と必要になるので
店頭で買った小さなビンから溢れてしまいます。

このように、まず希釈した塗料を保管するために必要になってきます。

そして、自分で苦労して気に入った色の塗料を作り出した場合にも
スペアボトルを用意しておけば、余った塗料を捨てずに
次回以降に使う事ができます。

混ぜた色を全く同じ色をもう一度混ぜて作ろうとしても
非常に難しく、手間も時間も掛かるので
オリジナルカラーを作るときは
予想される使用量よりも、多めに作っておくべきです。

そうでないと
塗装中に、オリジナルカラーが無くなってしまうと
途中から色が変わってしまう事になるからです。

スペアボトルも各社から
様々な大きさの物が発売されていますが

100円前後から販売されているので
複数用意しておくのがオススメです。

 

筆と塗料を揃えたら、早速トライ!!

ここまで

筆塗りに最低限必要な道具や塗料を紹介しましたが

他にも色々と優れた道具や塗料も存在します。

それらについては、「艦船模型レベルアップ講座」などでも紹介しますが

各自で必要性を感じたら揃えていけば十分だと思います。

大事なのは、道具を揃える事よりもまずは使えることです。

早速、筆塗りにトライしてみましょう!!