艦船模型 初心者講座

艦船模型の製作スタイルいろいろ

 

「艦船模型ってこんな細かい作業を何日も続けて

超絶スゴイ模型を作らないと楽しめないの!?」

 

 

確かに最近の艦船模型誌では、

「さすがにここまで作り込むのは無理(技術的にも時間的にも)」

「何もそこまで細かい所に気を配らなくても・・・」

艦船模型を長年楽しんでいる方々でも、「見るだけ」で精一杯と言えるほどの

超精密模型で賑わっているのは事実です。

 

でも、そんな艦船模型誌を1冊まるっと眺めてみると・・・

必ずしも、趣向を凝らした超精密艦船模型だけではない事に気付きます。

そう、割とあっさり目(?)の

それも有名なモデラーさんの手による艦船模型も掲載されているのです。

 

実は、艦船模型の製作スタイルは

「何を目的とするか?何を重視するか?」

によって、ある程度、製作スタイルが分かれてくるのです。

 

自分の技術や好みに合った模型製作スタイルを見つけ出すことが

艦船模型を趣味として楽しむ成功のカギなのかも知れません。

 

 

艦船模型には流派がある!?

艦船模型の製作スタイルは人の数だけ存在するとも言われますが

方向性に照らし合わせて考えると、

  • コレクション派
  • 1隻入魂派
  • バランス派

上記の大きく3つに分かれるようです。

どの製作スタイルにも一長一短があるので、順に説明していきます。

 

艦船模型 コレクション派

  • 艦隊や軍港のジオラマを作りたい!!
  • 好きな艦を欲望の趣くままコレクションしたい!!

そんな、あなたには1隻1隻にかける製作時間を抑えるために
改造ポイントは最小限に留め、キットの説明書に忠実に組み立てる事で
艦船模型を次々に増やしていける
コレクション製を重視した模型製作スタイルがオススメです。

 

  • 艦船模型が初めて
  • プラモデル製作そのものが初めて

という方々にも
とにかく色々な艦船模型のキットに数多く経験できる

コレクション性を重視した製作スタイルの方が
艦船模型の製作技術の上達が早いと思います。

上画像のように、キットの説明書にしたがって忠実に製作するも良いですし

「ココだけは少し手を入れたい」

という具合に
自分のコダワリのポイントのみに絞った必要最小限の改造や
ディティールアップに留めるのも
コレクション充実のスピードを考えると、有効な製作スタイルです。

 

艦船模型専門誌の中で時々見かけたあっさり目(?)の作例も

コレクション性を重視した作例である可能性が高い訳です。

 

また、有名モデラーさんの中にもコレクション性を重視して、あえてあっさり目の作例に仕上げている人もいらっしゃいますから

あなたが艦船模型の製作よりも、コレクション性に楽しみを覚えられたなら

「あっさりした作例」でたくさんの艦船を増やしていくのも、理に適った楽しみ方だと言える訳です。

 

艦船模型 作り込み派

 

逆に、とにかく1隻ごとに、自分の技量や根気の許す限り作りこんでいく製作スタイルもあります。
俗に一隻入魂派なんていわれたりもするようです。

 

艦船模型誌を賑わせている作例の多くは

この一隻入魂派なモデラーさんによるものが多く

とにかく精密かつコダワリが随所に詰まっています。

艦船模型もキットの製品化の都合上や技術的な問題で
実在艦の全てを忠実に再現しきれていない事がほとんど。

存在していたものが、全く無くなっていたり
プラスチックの成型技術の問題で
実艦と形が大きく変わっている事も少なくありません。

また、特定の艦でも、
改装工事により時期によって姿を変えている事も多いので
同じ艦でも、キットの設定時期とは異なる時期の姿を再現したい場合は
パーツの自作などが必要になったりします。

たとえば
秋月型駆逐艦であれば・・・


照月は竣工時の状態で製作したかったので
キットのままで製作しましたが・・・


秋月は最終改修後の姿を再現したかったので
マストの形状や煙突横の機銃台を追加した点が
照月からは大きく変わっています

メーカーが異なるので単純比較はできないものの
同じ秋月型駆逐艦の完成直後を想定したキットなので
本来はほぼ同じ形状になるはずですが・・・

製作したい時期によっては
上記の様な改造工作が必要になる事が
お判りいただけるのではないかと思います。

このように価格やプラスチック成型技術などの
製品化の都合上省略された部分を
実艦に近づける、ユーザー側で独自に行う改造工作を
ディティールUP工作と呼びますが、

このディティールUP工作を
自分の技量と「やる気」の許す限り行う製作スタイルが
作り込み派です。

 

艦船模型1隻を作り込むと1ヶ月以上かかる!?

元々はパーツ自体のサイズが大きく、作りこみ易かった
1/350で主流の製作スタイルでした。

しかし最近では、キット自体が精密化した事も手伝い
1/700でも1/350と遜色ないほどに作り込まれたの素晴らしい完成品が専門誌面を賑わせています。

その精密感には、ただただ圧倒されるばかりですが
慣れてくると、その細かな作業は他ジャンルの模型では中々味わえないものがあり
艦船模型ならではの楽しみとも言えるかもしれません。

 

私自身は、ガン〇ラや飛行機、戦車など色々なジャンルの模型を作っていましたが

艦船模型の細かな作業に魅力を感じ、最近では艦船模型がメインになった経緯があります。

 

ただ、1隻入魂とも言えるほど作り込むスタイルは
どうしても1隻に投入する製作時間が大変長くなるので

「好きな艦艇をズラッと並べたい」

という人には、やや不向きな製作スタイルと言えそうです。

 

有名なモデラーさんでも・・・

「1隻を仕上げるのに1ヶ月掛かる」

なんていう人も居る位です。

 

艦船模型のコレクション性と精密感は両立できる

最後に紹介するのは上記2つの製作スタイルの
バランスを調整して製作するスタイルです。

 

「ある程度、精密な完成品に仕上げたいが
 艦隊を編成したりジオラマにも挑戦したい」

「精密な完成品も作りたいけど、1隻だけでは寂しい」

「どうせコレクションするなら、ある程度、精密感のある模型で揃えたい」

 

やや欲張った(?)どこか諦めが着かない人々に適したスタイルかもしれません。

かくいう管理人も、この製作スタイルに該当すると思いますが・・・。

バランスの取り方も十人十色で

「基本的にはキットのまま作るけど、艦橋の窓枠だけは改造したい」
「極力作り込むけど、エッチングの手摺と空中線の張り線は省略する」

と、どんな風に作ってもOKです。

私の場合は
マスト間の空中線と甲板上の手摺は省略する代わりに、それ以外の部分は可能な限り
ディティールアップ工作を施し、

  • 砲塔
  • 対空機銃
  • 測距儀
  • 探照灯

などを旋回できるような
可動工作に製作時間を費やしています。

(私の製作スタイルについては、別の機会に詳しく・・・)

 

以上、3つの製作スタイルをお伝えしましたが
自身の製作技術がUPした段階で「作り込み派」に切り替えたり

「やっぱ艦船模型は並べてナンボだわ」と
「1隻入魂派⇒コレクション派」に切り替えるのも自由です。

 

ただ、艦船模型に初めてトライされる方は
最初は数をこなして行く
コレクション派に準じた製作を続ける中で
技術UPを図っていくのが最もスピーディに上達できます。

  • 自分のしたい事
  • 自分の製作技術
  • 自分の情熱(やる気)

と相談して、
自分に合った製作スタイルを見つけ出したいですね。