艦船模型 上級テク講座

艦船模型ディティールUPに使える!オススメ資料・写真集

艦船模型の製作、ディティールアップ工作したい箇所を探すリサーチのヒントとなる
資料性の高い写真集や専門書を厳選して紹介します。

ご紹介する資料を読み
艦船への知識を深める事でディティールアップ工作のヒントが得られ
艦船模型製作のモチベーション向上にも役立ちますが、

資料本の全てを一挙に揃える必要はありません。
ご予算や必要性に応じて購入して頂ければ十分です。

 

 

 

帝国海軍 総ざらいシリーズ

モデルアート社から発売されている
各艦種の模型製作に必要な情報が、まさに総ざらい形式で揃えてあります。

 

艦載兵器とそのディティールアップパーツの紹介

 


艦船模型の製作記事

 

艦型ごとの兵装や形状の解説をまとめたシリーズ本となっています。

 

 

いきなり全巻そろえるのが大変であれば

興味のある艦種を扱った巻から揃えると良いでしょう。
潜水艦から戦艦、果ては補助艦艇まで
帝国海軍限定ではあるものの

  • 駆逐艦総ざらい
  • 航空母艦総ざらい
  • 重巡洋艦総ざらい
  • 軽巡洋艦 総ざらい
  • 戦艦 総ざらい
  • 大型補助艦艇 総ざらい
  • 潜水艦・小型補助艦艇 総ざらい

といった具合に
一応、全艦種について総ざらいシリーズが刊行されています。

「予算の都合もあるから、
 ひとまず1冊で別売パーツから改造ポイントまで把握できる1冊を」

という事なら、
総ざらいシリーズは最有力候補になりそうです。

 

ただし、総ざらいといっても
あくまで各型ごとの大まかな特長までなので

「陽炎型の秋雲について知りたい」

といった具合に
特定艦まではフォローし切れていない部分はあります。
(もっとも、残存資料や写真が無い艦も少なくないので、やむを得ない部分がありますが・・・)

 

軍艦雑記帳 上巻・下巻

特定の艦を追った内容ではなく
帝国海軍の艦艇の各部分の役割や搭載されていた兵装・備品類の形状、使用方法を解説した内容。

非常に資料性の高い1冊。

 


今まではキットの甲板上に、散在している邪魔臭い突起も
この1冊を読み終え、本来の役割を理解した頃にはディティールアップしたくなるはずw

また、兵装類や各種の光学機器は
国籍が同じ軍艦なら共通している事が多いので、それら装備品について理解を深めておけば、
艦船模型の製作やディティールアップ工作にも役立つはずです。

値段も上下巻揃えても1500円足らずなので
早期に入手しておきたい所です。

なお、本書は書店ではなく
模型店の資料コーナーに並んでいる事が多いので注意。

近所の模型店に無い場合は
タミヤから通販で購入する事も可能です。

 

日本海軍艦艇写真集


帝国海軍だけですが
有名どころの写真は一通り収録されているようです。

 

写真集を謳っていますが、中をめくってみると・・・

  • 艦船の写真
  • 改装の変遷
  • 研究記事
  • 行動年表

1冊で写真から資料、研究文献といった全てを網羅しており

  • 艦船模型のディティールアップ工作を本格スタートしたい人の最初の1冊に
  • 写真、研究記事、図解、行動年表が1冊にまとまった本が欲しい

といった人には最適な1冊になるはずです。

 

帝国海軍の艦艇のうち複数の型を1冊にまとめられているので
帝国海軍の全艦艇の写真が欲しいという場合は、全20巻集める必要があります。

たとえば


第1巻は大和型と長門型を扱っています。

 


第17巻では、駆逐艦の各型のうち、初春型や白露型などを収録

といった具合です。

 


実艦の写真を中心とした内容ですが、艦毎に大まかな行動年表も掲載されているので

自分なりに改装時期を考慮して船体色を考察したり、増加・削減された兵装のリサーチなどにも使えます。

 

もちろん、掲載されている専門家の方々による解説を頼って

ディティールアップ工作を進める事もできます。

 

また、写真についても、艦の全体像が判る写真だけでなく
甲板上から撮影した写真なども豊富(特に駆逐艦)なので
ディティールUPの研究資料としては利用価値が高いです。

 

唯一弱点があるとすれば、出版が1997年と時期が経っているので

最新のリサーチが反映されていない部分が見受けられる事ですが

それは本書に限った話ではありません。

 

  • 写真
  • 改装の変遷
  • 研究記事
  • 行動年表

と1冊で全てを網羅している書籍は意外と少ないので、貴重な存在です。

 

日本海軍小艦艇ビジュアルガイド

日本海軍しかも駆逐艦・海防艦限定と内容が特化してはいるものの
各艦の兵装の変遷だけでなく・・・


船体形状の変化や
メーカーごとのディティールアップポイントの違いにまで解説が及んでいる徹底ぶり。

特に見過ごされがちな船体形状

  • 船首のフレアの反り
  • 舷側のガンネルの有無
  • 艦橋の形状の差異

などなど、他にも多数あるのですが
キットによっては、パーツをどうカットすると良いかまで図解で説明されているのは、本書ならでは。

 

さらに、ディティールアップを実際に施した作例を
メーカー毎に作り比べた画像まで掲載されています。

また、作例自体も
ディティールアップとコレクション性のバランスを考慮してか
見応えを確保しつつも、ポイントを絞った工作がなされており

自分なりの
「コレクションとディティールのバランスの取り方」を検討する上で、大いに参考になることでしょう。

まさに艦船模型のディティールアップに極限まで特化した1冊。
艦船模型のディティールをここまで追求した本は今の所ないように思えます。

もっとも、本書にも

  • 駆逐艦、海防艦しか扱っておらず、戦艦や空母編などは無い
  • 96ページ(全ページフルカラー)で3500円
  • 著者のやや難解な言い回し

という難点がありますが・・・

駆逐艦については、この1冊さえあれば
ディティールアップのポイントに悩むことは無くなり、他にリサーチのための資料も必要無くなってくるかも。
それ位、必要な情報が集約されている訳です。

「駆逐艦を徹底的にディティールアップ工作したい」

「駆逐艦のディティールアップ本を1冊に絞りたい」

という方々は、この1冊を購入しておけば、まず間違いはないでしょう。

 

歴史群像 太平洋戦史シリーズ


学研から販売されているシリーズものの資料集。

写真だけでなくCGや図解を織り交ぜて、
各艦の改装や戦闘記録、戦術にまで迫った研究要素の強い資料本です。

 

船体・兵装の改装前後の差異についてのリサーチは
写真はもとより改装を担当した工廠の記録や資料、各艦の戦闘詳報も含め
総合的な視点から徹底リサーチしているのが特長。

 

本書の研究結果が、ディティールアップ工作のポイントとなる事も多く
製作する艦が掲載されている号は、ぜひとも欲しい1冊。

ただ、最近ではあまり店頭で見かけないので
入手できるかどうかが最大の問題点。

ですが、書店でポツンと並んでいることもあるので見かけたら即購入を推奨。
最近では、ネットオークションで入手できる場合もあるようです。

 

あと、もう1つ注意を要するのが、

本書に掲載の研究記事は「仮説」も含んだ考証がある事です。

 

率直に言えば、

「実艦が本当にそうだったのか定かではないが、写真や当時の記録からすると

〇〇〇と考えた方が正しいであろう」

という内容も載っている訳です。

 

一見すると不確実な内容が載っていると思われるかもしれませんが

研究とは得てして不確実な部分がありますし、ウラを返せば新しい考証(仮説)が載っているとも言えます。

 

その考証(仮説)を採用するか、しないかは、自分の技術や余裕と相談しながら判断・選択するので

どちらかといえば、ディティールアップ工作やリサーチに慣れてきてから購入を検討すべきです。

 

逆にいえば、ディティールアップ工作やリサーチをそつなくこなせる段階になり

「考証に拘った艦船模型を作ってみたい」

「少しでも実艦に近い艦船模型を作りたい」

という人であれば、最優先で入手を考えたい1冊です。

 

 

スーパーイラストレーションシリーズ


モデルアート社から発売されている
3DCG図面集

写真は殆どありませんが
専門家が分析に分析を重ねた上で作図した

各艦の立体図、断面図、拡大図が豊富に掲載されています。

昔の写真だけでは判りづらかったり写真には残っていなかった部分も
精巧かつ立体的な図面で再現されているので軍艦の複雑な形状も理解しやすいです。

艦橋を各階ごとに切断した断面図などでは
艦橋の内部の様子が判りやすいですし

 


複雑な形状のマストや内部構造が判り辛い煙突も段階的に切断して
いるので、形状が理解しやすいです。

この立体図に書かれている全てを
ディティールアップ・追加するにはかなりの知識と経験・技術、そして製作時間が必要になるので
何をどこまでディティールアップするか?取捨選択が必要になります。

 

ただ、

「1隻ととことん、燃え尽きるまで作りこみたい」

という場合や、大好きな艦艇であれば購入しておいて損はないでしょう。

 

艦船模型スペシャル


同じくモデルアート社から年に4回ほど刊行されている
艦船模型だけを扱った、艦船模型専門誌。

 

有名モデラーさんの超絶精密模型を中心とした内容ですが

時代考証まで踏まえた製作過程や
ディティールアップのポイントもしっかりコメントしてあるので
艦船模型を趣味として続けるなら、学ぶべき箇所が多々見つかるはず。

 

また、艦船模型スペシャルは作例だけでなく

各艦の改装の変遷を追った研究記事も豊富です。

丁度、総ざらいシリーズのレベルアップ版のような性格。

 

模型専門誌だけあって、模型製作するにあたり有用性の高い情報が詰まっているので

「ある程度、専門的な知識が欲しいが、資料には費用を掛けられない」

「実艦の詳しい情報も欲しいが、ディティールアップの参考になる製作ノウハウも知れる1冊を」

という人には、艦船模型スペシャルは特にオススメできます。

 

 

ディティールアップのリサーチも工作も、作り続けてこそ・・・

独断と私見ではありますが

艦船模型のディティールアップ工作に役立ちそうな写真集や資料本を一通り紹介しました。

 

今回紹介した以外にも良い資料本や写真集もあるのですが

ディティールアップ工作に慣れてから購入を検討されると良いと思います。

 

あと、資料本や写真集はあくまで

ディティールアップ工作のヒントやキッカケを提供するだけです。

 

紹介した資料は読むだけでも存分に楽しめてしまうのですが

実際に手を動かさない事には、模型は完成することもありません。

 

ディティールアップ工作のリサーチや、それを実現するテクニックも

作り続ける事こそが、習得への近道である事を、忘れないでください。