艦船模型 製作レポート

起重機船「公称3324号」 製作ダイジェスト

そのまま組み立てただけでも
精密感溢れる仕上がりが楽しめるキットですが、
少しだけ手を加えると良い点を紹介します。

本キットレビューと併せて、購入・製作の参考にして頂ければ幸いです。

 

 

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起重機船「公称3324号」キットレビュー

クレーンワイヤーの金属線への置き換え


クレーンの可動に合わせて
「垂れ角度」まで可動するクレーンワイヤー。

しかし、強度や可動性を重視したためか
キットではプラ棒で再現されています。

 


プラで再現されたワイヤーを金属線に置き換えると
より実感が増します。

私は資金不足でエナメル線を使用しましたが・・・

 

私の修行不足も手伝って、歪んでいます^^;
メタルリギングなど、エナメル線よりもコシの強い線材を使用したほうが良かったかも知れません。

 

運転室(?)架台の開口

運転室(?)の支持架台は鉄骨らしいモールドで再現されていますが
「軽め穴」が塞がっています。

「軽め穴」は開口させておくと
確実に実感が増すので、オススメの作業です。

 


運転室の窓は塞がっているので
ココも開口しておきたい所。

ただ、運転室の窓枠を残すように開口するのは難しかったので
私は窓枠ごとをエッチングノコでカットし
窓枠をプラ材で再生する方法を採りました。

 


もっとも、上画像のクレーン根元の機械室(?)の窓のように
運転室以上に開口が難しい小窓も多数あります。

窓まわりの表現を統一する観点から
「窓はあえて開口しない」という選択肢もアリだと思います。

 

私の作例では

「運転室の窓は開口しているのに、機械室の小窓は開口していない」

という状態になっています^^;

 

クレーン可動部の工作

本キットは特に改造しなくても
可動箇所が多いのが魅力の1つです。

可動部分はクレーン部に集中している訳ですが
スムーズな可動を実現するためには
「パーツの合い」を調整するのがオススメです。

具体的には

  • 俯仰角を調整するアーム基部の可動軸
  • クレーンワイヤーの巻き取り軸

の2ヶ所になると思います。


「俯仰角調整アーム」の基部は
パーツを挟み込むだけの簡単な構造ですが
ややパーツがキツいので・・・

 

上画像のL字型部分の内側を削っておくと
可動がスムーズになるようです。

 

「巻取り軸」はクレーンアームの穴に比べて太いので
クレーンアーム側の穴を拡げようとすると
アームの強度低下が心配でした。

対処法としては

  • 巻き取り軸を削り、細径化
  • 軸部を削り落とし、0.3mmの細いプラ軸に置換

のいずれかの方法が良さそうです。

私は、細いプラ軸に置換する方法にしましたが
精密ピンバイスさえあれば、こちらの方が短時間で済むと思います。

いずれもパーツの一部を少し加工する程度ですが
やるとやらないとでは、可動性に大きな差になるので
仮組しながら、パーツを慎重に整形していくと良いでしょう。

 

海上起重船3324号の塗装

所属する港に応じた工廠色で塗装されていたようなので
想定する軍港の所在地で決めてしまってOKだと思います。

私の場合は、呉軍港のキットを利用した軍港ジオラマを予定しているので
今回は呉工廠色で塗装しています。

厳密な塗装指示は無いようなので
灰色を主体に塗装しつつ、

 

通気筒内部などは暗い赤色やツヤ消しホワイトで塗装し
アクセントを加えて模型映えを重視するのもアリかもしれません。

 

塗装で一番苦労するのが
クレーンアームの内側。

クレーンアームは一体整形なので
組み立てがラクな代わりに
エアブラシが入りづらく、塗装しづらいです。

クレーンアーム内側は、とにかく塗料が乗りにくいので
クレーンアーム内側だけは筆塗りしてしまった方がイイかもしれません。

 

ウェザリングについては
港湾内で多用される船なので
ウェザリングは少々キツ目に施した方がサマになりそうですが
製作者の好みで加減して良さそうです。

私の作例では、灰色が少し明るめになってしまったので

ウェザリングを施した割には少々重厚感が不足しているかもしれません(泣)

 

まとめ


パーツ点数は抑え目ながらも
精密なディティールと可動性を両立させている好キットだと思いました。

特にクレーン部分の工作は
他の艦船模型では味わえない構造を組み立てるので新鮮でした。

 

クレーン船である事から
戦闘中のジオラマには出番がないものの
軍港ジオラマには、これほど映えるキットもなかなか無いんじゃないかと思います。

艦船模型の最初の1隻目には選びにくいかもしれませんが
あなたの艦隊が充実してきた頃に
ぜひ起重機船「公称3324号」の導入を検討してみて下さい。